HF-380A Memorial Version PRO-MARK |
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ロックウェル コリンズ KWM-380 HF-380 が米国で発表されたのは 1979年 9月、その後日本向けに国内代理店経由でリリースされたのは一年後の 1980年秋頃だったと記憶しております。当時為替レートは Yen 300 / US$1.00 で KWM-380 の日本国内リストプライスは 250 万円程度でした。 当時日本製 HF リグ上級モデルには TS-820 TS-830 FT-ONE FT-901 FT-107 IC-720 等がありましたが価格は 16 万から 28 万円程度、FT-ONE で 40万円程度でしたので KWM-380 のそれは破格なものでした。当時学生であった私は TS-830 で満足、KWM-380 を購入することは想像もつきませんでした。その後、QRT・アマチュア無線の世界から 20年以上離れることになりました。 コリンズといいますと 75A-4, KWS-1, KWM-1 そして KWM-2, S-LINE (75S-1, 32S-1, 30S-1, 312B-4) といった真空管式リグを思い浮かべる方が多いと思います。しかし私は KWM-380 HF-380 の白いフロントパネル、オールソリッドステート、デジタルシンセサイザー、初のアップコンバージョン方式、DBM 周波数変換、ゼネラルカバレッジ送受信といった当時としては斬新な設計コンセプトから生まれたこのリグに惹かれておりました。 1984 - 1985 年頃、KWM-380 をオペレートしていた W の数局と SSB で交信した際、KWM-380 から送信されるすっきりした SSB 音質に驚いたものです。当時ファイナルが半導体の HF リグは日本メーカーからも数機種発売されておりましたが、真空管ファイナルを使用したリグと比較しますと送信音質は堅めなものでしたが、KWM-380 HF-380 は、美しい容貌にふさわしい綺麗な Collins Tone を醸し出していたのです。自身で HF-380 に触れる機会はありませんでしたが米国のユーザーレポートをチェックしますと受信性能も秀逸のようでした。 今、手元にある HF-380 と TS-950SDX、 IC-7800 等と受信比較しましても、ダイナミックレンジ特性等、基本性能は現在でも通用するもので、採用されている米国 Piezo 社のクリスタルフィルター 6KHz, 3.0KHz, 2.1KHz, 1.7KHz, 360Hz, 140Hz.の "切れ" は最近の DSP トランシーバーにも引けをとりません。 DSP デジタルフィルターを採用した昨今のリグと KWM-380 HF-380 の受信音とを聞き比べても KWM-380 HF-380 の SSB 受信音は聞き易く、AM ラジオ放送を長時間聞いていても快適です。マイク選定を間違えなければ SSB 送信音もすっきりした綺麗な音です。 その後私が米国で Rockwell Collins OB 達の私的集まりに参加する機会を経て、彼らにとって HF-380・KWM-380 が特別な存在であったことが私にも伝わってきました。KWM/HF-380 だけは手放さず、大切に手元に置いている Rockwell Collins OB は多いようです。このページの上の写真の "HF-380 Special" も OB の一人が所蔵している一台です。
私も KWM-380 リリースから 20 年以上を経て、米国のコレクターから KWM/HF-380 をこれ迄通算 6 台購入、現在 HF-380 (KWM-380 からの Upgrade 仕様) をシャックに 2 台並べております。しかしアマチュア無線への興味は盛り上がらず、QRV することもなく、HF-380 で深夜、中波放送の NHK ラジオ深夜便、ラジオニッポンの "Port Jockey" (= 土曜日 22:00 - 23:00) で '70 - '80 年代ポップス、ジャズを聴きながら当時を想い出したりしております。 S. Saito JF1QBV (Sept. 12, 2005) Links: QRZ.com HAMqth.com |
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